できません。凍るという現象は水が液体から固体になる現象です。これは相転移と呼ばれ、膨大な数の物体が共同しないと起こりません。膨大な数の目安は100億個くらいです。これでも1モルに比べればごくごく少数ですが、これくらいの数がないと「温度」が決まりません。温度はたくさんの物体があって初めて決まります。

なぜ私たちを取り巻く自然は、このように美しく、豊かで、深淵なのか、です。人として生まれてきた以上、この問いの一部でも知りたいものです。

私の専門である物理学においては有効と思っています。精神論と違うかもしれませんが、自分自身の世界観を持ち、他者の世界観を学ぶと物理学はよくわかるようになります。物理学においては、著者によって教科書の書き方がとても違います。これは世界観の違いであり、物理はもののことわりなので、どのように世界を理解するかという心構えは学習に大切だと思います。

段取りの必要な作業がよいと思います。複数の料理を同時に効率的に作るとか、買い物をいかに効率的にするかといった家事は有効と思います。それと大脳の前頭前野を活性化させるには、実際に対面して会話すること、書物を音読することなどが有効です。

日本では試験的には送電に用いることが行われている段階です。超伝導は冷やさないと発現しないので、冷却コストに見合わないと使えません。それと抵抗ゼロで流せる電流は直流に限りますので、発電所で生み出される50ヘルツや６０ヘルツの電流は抵抗を生じます。これも課題です。一番有望なのは大都市の電力地下ケーブルへの応用です。地下ケーブルは一度敷設すると拡張が難しいから、断面積あたりに流せる電流を増やすしかありません。そのために超伝導はとても有効です。

日本は70年代はアメリカに半導体で二周くらい周回遅れでしたが、企業の努力もあって80年代なかばには半導体メモリのシェアは世界一になりました。すべての基本特許はアメリカに押さえられていたにもかかわらずです。個人的には、日本は先頭を走るのは苦手ですが、追いつき追い越すのは得意な民族だと思います。トヨタが先行しているのは「乗り心地よさ」のような数値化出来ない暗黙知の蓄積です。

巷間言われているように、職種によってはジョブ型の採用を増やしてもいいと思います。中途採用や、能力を重視した採用ですね。アカデミアの教員公募は30年以上前からこの形式です。

超伝導の物理は基本的には理解されています。ただし、新規な超伝導体がどのように超伝導になるかについてはいろいろ議論があります。それはどんな分野にもある専門的な問題です。ご指摘のように超伝導には抵抗z路で電流が流れる完全導電性と、外部磁場を排除する完全反磁性が特徴です。それ以外にも超伝導で取り囲まれた領域で磁束（磁場に面積をかけた量）が量子化することがあります。また超伝導電子のトンネル効果（うすい絶縁体を量子力学的波動として透過する現象）もあります。これらを応用した超高感度な磁場センサができます。

私にとって論文作成は、楽しいものです。論文を書く時点で、書くべきデータや計算結果がでそろっています。この時点までは研究者としての私です。論文を執筆するモードでは、研究データをどのように読者にアピールするかを考えて演出・構成を考える、いわばNHKの科学番組のディレクターのような気持ちです。同じ人間の中ですが心の持ちようが全く違いますし、論文はその意味で小説や音楽作りとは違います。

私の大学では論文数のノルマはありません。しかし科研費をもらったら応分の成果の公表が求められ、それを怠ると次回の科研費の採択が難しくなります。そういうプレッシャーは存在します。

ファクトフルネスという書物によれば、世界の発展とともに貧困は確実に減っており、寿命もどんどん伸びています。これは疑いなく科学と技術のおかげです。新型コロナもこれが10年前に流行していれば、ｍRNAワクチンも高速PCRもオンライン・リモート技術もなく、社会はもっとダメージをうけたでしょう。何年で根絶できるとは断言できませんが、継続的に状況は好転しています。

就職のありかたをこの国全体で変えないかぎり大学だけで勝手にどうこうできるものではないです。優秀な学生を社会に送り出すことも大学の大事なミッションです。

学会で知り合ったり、論文の感想を連絡して始まったりいろいろです。価値観を共有できること、お互いの強みが相補的であることなどがあれば、学内や国内に限らないものです。

もう絶版かも知れませんが、グレゴリー・ベンフォードの「タイム・スケープ」という小説は、生の物理学者の生活がよく書けていると思います。ネタの一つであるNMRの研究の描写はそれなりに臨場感があります。話自体はSFですので荒唐無稽ですが。この人はカリフォルニア・アーバインの教授で、かなりリアルな科学を作品に織り込んでいます。

正確さを犠牲にしても簡潔に説明し、質問をもらうという方式がいいと思います。こちらがはしょった部分が質問で返ってきたら、しめしめです。また、内容の核心に関係する小ネタの問いを最初に提示して、話をすすめるということも、よくやります。たとえば、英語で1メートルはone meter, 2メートルはtwo meters,では0.5 m は？とか、古代ギリシャでは月と地球の距離をどうやって測ったか？とか、マラソンコースの42.195キロってどうやって5桁の精度で測ったか、などなど。

不人気の本質が捉えられていないというのはそのとおりです。日本には、博士＝象牙の塔にこもる変人、のような印象がまだ残っているので、社会とお見合いしましょう、というのは悪くはないと思います。受け入れる企業側にも博士院生側にもマインドセットが変わることがあれば、状況は好転するでしょう。ただし、日本は1990年のバブル崩壊の後、大きな製造業の中央研究所が大幅縮小され、学位取得して企業で研究力を発揮できる場所が激減しました。これが改善されないと前に進まないかもしれません。

筆記が通るくらいに準備ができているなら、可能だと思います。これは、分野というよりは希望の研究室によると思いますので、研究室の主宰者に連絡をとって話をきくとアドバイスをもらえると思います。実績や経験がないと、他の人より余分な努力が必要かもしれませんが。

多くの国立大学では初年次に全学教育（かつての教養教育）に合格することが卒業要件になっています。ある特別な科目にどれほど突出していても、たとえば語学ができないと卒業できない構造になっているので、日本の大学のこの部分が変わらない限り、専門以外の学力が求められます。

むしろ現在は、海外留学をめざす若手研究者が少なく、引きこもり現象が問題になっています。いくらか中国でポストを獲得している若手研究者もいますが、流出というほと深刻ではないと思います。いまの日本の深刻な問題は研究者の量と質の低下でしょう。

潤沢な研究費も激しい競争で獲得しないといけません。スポットライトが当たる研究者だけを見ると海外の研究環境はすばらしいと思うかもしれませんが、海外で夢半ばに消えていく人たちはその何倍もいます。海外といっても米国と欧州はだいぶ違いますし、研究者の個性、才能、分野によって居心地の良い場所は違うでしょう。

試料や実験状況の写真を残す、生データを研究室全員がアクセスできるクラウドにおく、実験の再現性を確認する、こうした作業を研究室メンバー全員が参加するミーティングで相談し実行します。

リチャード・ドーキンスの「虹の解体」第1章を読むことをおすすめします。要するに、この世に生まれてきただけで、ものすごい幸運なので、その幸運に感謝して世界を理解することが、人として生まれた価値だ、みたいなことが書いてあります。

誤解されているかもしれませんが、学者はディベートや議論を日常的にしますので、このスポーツが求められます。ただし科学的議論には「型」があり、それを学び実践します。欧米では中高生あたりでも鍛えられる修辞学です。

偉人だけでなく、偉人になれなかった人たちの物語を歴史から汲み取るのがよいと思います。それも短いエピソードとか名言のようなつまみ食いではなく歴史を学ぶのです。本物の歴史でなくても、司馬遼太郎先生や塩野七生先生の著作を読むのもいいと思います。

予想していたシグナルの１００倍大きなシグナルを観測して測定器がオーバーロードしたときです。このときは試料につけた電極が外れたと思いましたが、詳細にしらべた結果、物質の反応（このときは熱起電力）が予想の１００倍大きかったことがわかり、新物性の発見につながりました。

ありそうですが、意識したことはありません。

私はかなりいい加減に生きてきました。高校のときは数学と生物が好きで、大学入試直前に物理が好きになり、大学では理論物理にいくつもりで、実験系の研究室に配属されたら実験の楽しさを知りました。師や先輩との出会いとか、その時の研究の流行といった、運命に左右されるのは当然のことです。好みや目標も年齢とともに変化します。一生の仕事の方向を決めたのは、東京大学の助手をやめるころなので、30歳前くらいです。

博士課程大学院生以来心がけているのは、複数のテーマを同時並行して研究することです。そうすると一つが壁にぶつかっても、たいてい他のテーマは進みます。全部がダメになるというのは稀です。スランプは心理的なことが大きく、なにかしら事態が進んでいくと、壁と思っていたことが意外な方面から解消されることが多かったです。もちろん本当に深刻な壁にぶつかったら、勇気ある撤退をします。

私の専門は物質の物理学の実験研究なので理論研究よりは数学を使いません。それでも理工系大学の学部3年くらまでで習う数学は日常的に使います。具体的には、偏微分・重積分、ベクトル解析、特殊関数、フーリエ解析、複素関数、微分方程式、線形代数などなど。

1モルの気体の比熱は気体分子の構造で決まります。特に、単原子分子や二原子分子はそれぞれ原子の種類によらず同じ比熱（3R/2, 5R/2　Rは気体定数）を示します。ですので比熱をキログラム当たりに換算すると、分子量の小さいものほど多くのモル数を含むので比熱は大きくなります。水のように平面型に配置された三原子の比熱は1モルあたり3Rになるはずです。どうやって計算するのかについては、解析力学と統計力学が必要です。上記の回答は室温における状況を仮定しましたが、うんと高温では事情が変わってきます。

変わらないはずです。原子の半減期は原子核の安定性と関係した、原子核の物理学の問題です。一方、化合物は、原子核の回りを取り巻く電子、特に最外殻の電子同士によって生じるもので、電子の物理学に従います。

1億ボルトの電位差を失うことなく雷の電荷をキャパシタに移すことができれば（その方法はわかりませんが）、雷の電気エネルギーを利用することができます。しかし並行平板で考えてキャパシタの極板間距離を0.1 mにとれば10^8 V/mの電場になって、極板間が空気であれば放電が生じてしまいます。また、すべての電気回路の耐電圧を1億ボルトにするというのはかなり難しい。しかも貯められる電荷が100クーロンくらいで、これは相当に大きな量ではありますが、300メガワット時くらいの電力（200世帯の1日の消費電力）にしかなりません。どこに発生するかわからない雷を飛行機で追いかけて溜め込んでも、きっとコストパフォーマンスが低いのではないでしょうか。

どこの大学に在籍されているかわかりませんが、経済や経営の講義が開講されている学部（経済学部など）が併設されているところであれば、他学部聴講制度などを利用してそれらを学ぶことができるでしょう。学費を余分に払わずに無料で学べるのは大学生の特権です。そうでない場合は、適当な専門学校に通うことも考えてください。

その上で水産に関係する専門科目を履修し、今の優位性を保っておくべきです。経済などを余分に勉強するわけですから大変ですが、水産関係と経済の両方に通じていることは強みになります。

もしも、すでに専門に魅力を感じておらず卒業もおぼつなかい場合は、留年を覚悟で経済関係の科目を集中的に学び、資格試験などを受けて将来にそなえるのもいいでしょう。

回答者は質問者のような経験を持っているわけではありませんが、「これしかない」と思いこんで将来の選択肢を狭めることはしてきませんでした。時間とともに個人の興味や目標も変わっていきますから、嫌いなものが好きになるかもしれませんし、いま興味のあるものもそうでなくなるかもしれません。そんなときになりたい自分になれるようにいくつかの引き出しを用意できればいいですね。